パブロ・ピカソ
《生木と枯木のある風景》
1919年 油彩・カンヴァス
© 2024 - Succession Pablo Picasso - BCF (JAPAN)
ピカソには珍しい風景画です。ブラックとともにキュビスムを追求していたピカソが、再び写実的で三次元的空間表現を復活させた新しい様式、いわゆるピカソの新古典主義の傾向が認められる作品です。例えば、画面奥の単純化された建物には、キュビスム的な平面性が残されていますが、陰影を施された樹木や画面全体の空間には、奥行きや量感が感じられます。とはいえ空間はごく浅く、自然の風景というよりも舞台の書き割りを思わせます。このことは、ピカソが1916年以降、ロシア・バレエ団の舞台装飾を手がけたことと無関係ではないでしょう。
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