ドガはバレエの主題を油彩とパステルの両方で手がけていますが、踊り子の動作を素早くとらえる上で、パステルは適した技法であったといえます。パステルはドガの後半期の画業を代表する技法であり、その作品は700点以上になります。踊り子を斜めに配置し、横長の画面に奥行きとリズムを生み出すのは、ドガが好んだ手法です。全体に色彩が施されつつ、人物像の輪郭の修正が入念になされており、この作品が同時期に制作された油彩作品《稽古場の踊り子たち》(1895–96年、フォン・デア・ハイト美術館)の習作であることを示しています。