藤田嗣治
《巴里風景》
1918年 油彩・カンヴァス
©Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2024 C4565
渡仏初期、藤田嗣治はパリ周縁部の寂れた景色を好んで描いており、モノクロームに近い灰色を基調とした風景画を多く残しています。この作品は、比較的鮮やかな色彩を用いて、街中の情景を題材にしている点がやや例外的であるものの、全体に漂う寂寥感や人物の描き方などに初期の風景画の特徴が見られます。エッフェル塔や地下鉄の入り口のアーチ、大きな肉をぶら下げた屋台といったモティーフから、当時藤田が暮らしていたモンパルナスの界隈、エドガー・キネ通りの市場を描いたものと考えられています。
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