藤田嗣治
《猫のいる静物》
1939-40年 油彩・カンヴァス
© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2024 C4713
この作品は藤田嗣治が戦争の激化にともない、日本へ帰国する直前の1939(昭和14)年から40年にかけて描かれました。テーブルの上に描かれた様々な食材は、それらの宗教的な意味合いや、西洋の伝統的な静物画の影響が指摘されることもあります。しかし、飛び立つ鳥や獲物を狙う猫の描写は画面に動的な要素を加えており、また、黒い背景はバロック的な明暗表現というよりも、画面の平面性を強調する役割を果たしています。右隅に描かれた猫は、まるで画家の分身であるかのように頻繁に藤田の作品に登場します。
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