拡大《鉄砲百合》

黒田清輝

《鉄砲百合》

1909年  油彩・カンヴァス

黒田清輝は、当時、東京の平河町にあった広大な邸宅で生活していました。この作品はその庭から主題を得て、黒田が主導していた、明治政府による文展に出品されたものです。この気取らない風景画は、忙しい公務の合間を縫って比較的短時間に描かれた作品でしょう。パリで西洋絵画の伝統を学んだ黒田は、白い百合が純潔のアレゴリーを持つことを知っていたのは間違いありませんが、日本の鑑賞者とそれを共有しようという意図は見えません。画壇の中心にいた黒田の気持ちのゆとりも感じられるようです。

その他の作品

このページをシェア
《鉄砲百合》