Paris Report
Column|2017.06.07
パリ美術館情報 2
「ブリヂストン美術館の名品−石橋財団コレクション展」では、日本近代洋画や日本の現代美術も展示されます。せっかくですので、パリで日本の美術作品を見られる美術館を二つ紹介しましょう。
ひとつはギメ東洋美術館。リヨン出身の実業家エミール・ギメ(1838-1918)の収集した作品が、美術館のコレクションの核となっています。世界中を旅して多くの美術品を収集したギメは、1876年に日本を訪れています。1879年にギメはリヨンでコレクションを発表し、1889年にそれらをパリに移して博物館を開設しました。訪問時、ギメ美術館では松坂屋の着物コレクションを中心とした特別展を開催していました(会期:2017年2月22日〜3月22日)。
もうひとつはチェルヌスキ美術館(パリ市立アジア芸術美術館)。イタリア出身で、銀行家として財をなしたアンリ・チェルヌスキ(1821-1896)が亡くなったのち、パリ市がその邸宅とコレクションを譲り受けて、1898年に美術館として開館しました。大広間には、かつて目黒の蟠龍寺にあった阿弥陀仏が展示されます。チェルヌスキは1871年に2ヶ月ほど日本に滞在しました。
- ギメ美術館
- チェルヌスキ美術館
美術館はモンソー公園のすぐそばにあります。モンソー公園は、もともとはこの土地を所有していたオルレアン公が18世紀に造らせた庭園でしたが、19世紀なかばにパリ市が買い取り、上流階級向けに整備しました。公園には古代風の建物や彫刻が配置されています。パリの貴族や上流階級の人びとにとって、公園の散歩は大切な日課でした。チェルヌスキもこの公園を散歩したのでしょう。
2016年、ザオ・ウーキーの旧蔵品や作品が、夫人よりチェルヌスキ美術館に寄贈されました。中国出身の画家ザオ・ウーキーは、フランスで活躍したのち、2013年に亡くなりました(ブリヂストン美術館では2004年に特別展を開催)。見学に訪れたときには、ザオ・ウーキー旧蔵の古代中国銅器や、1950年代に作家自身が作成したやきものが展示されていました。当館所蔵作家の別の側面を見ることができる絶好の機会でした。(K.K)