プレオープンプログラム レクチャー「はじめまして、新しい仲間たち」「ベルト・モリゾ《バルコニーの女性と子ども》:近代都市パリの新しい女性像」

2019.09.28
この秋、アーティゾン美術館では、2020年1月18日の開館に先駆け、一足先に美術館を味わっていただく機会として、プレオープンプログラムを開催しています。 そのプレオープンプログラムの幕開けとなる9月28日、開館記念展に出品される新収蔵作品の中から1点を取り上げてお話しするレクチャー「はじめまして、新しい仲間たち」の第1回を当館3階のレクチャールームにて開催し、学芸課長の新畑泰秀より、ベルト・モリゾによる《バルコニーの女性と子ども》についてご紹介しました。

モリゾは印象派の女性画家の一人で、母子や子どもをモチーフに、繊細で穏やかな作品を生み出しました。レクチャーでは、モリゾの育った家庭や彼女の交友関係、モリゾ以外の印象派の女性画家にも触れながら、《バルコニーの女性と子ども》が描かれた当時のパリの社会情勢や、モリゾと近しい間柄にあり、相互に影響を与え合ったマネと彼の作品についても取り上げてお話ししました。

マネをはじめ印象派の画家たちと同様、モリゾもまた、パリの新しい近代風景を描き残しました。本作では、モリゾの自宅のバルコニーの内側から、彼女の姉と姪がパリ中心部を眺めている様子が描かれている点に、女性が画家として活動することにいまだ困難がともなう時代に、因習というバルコニーの内側から抜け出そうとする新しい女性像への思いが託されているのかもしれません。開館記念展には、モリゾと交流の深かったマネの作品も出品されます。
プレオープンプログラム レクチャー「はじめまして、新しい仲間たち」「ベルト・モリゾ《バルコニーの女性と子ども》:近代都市パリの新しい女性像」
プレオープンプログラム レクチャー「はじめまして、新しい仲間たち」「ベルト・モリゾ《バルコニーの女性と子ども》:近代都市パリの新しい女性像」