ARCレクチャー「安井曾太郎とポール・セザンヌ礼賛」

2019.07.27
7月27日(土)にARCレクチャーを開催しました。第10回目となる今回は、教育普及部長の貝塚健より、20世紀前半の日本における代表的な油彩画家の1人である安井曾太郎が、ポール・セザンヌの作品から受けた影響についてお話ししました。

1907年に留学先のパリで初めてセザンヌの作品を観た安井は、その数年後にパリで再びセザンヌ作品に接して深く心を打たれ、セザンヌに傾倒します。モチーフを複数の視点から描く安井の手法には、セザンヌの影響が明らかに見て取れます。

安井は、晩年居を構えた湯河原の画室から見える山の風景を好み、その山をセザンヌが繰り返し描いた南仏のサント=ヴィクトワール山と重ねていたようです。当館をよく訪れていた安井は、当館所蔵のセザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》を特に気に入っていました。

レクチャーでは、安井の残した文章や、安井の知られざるエピソードも交えてご紹介し、参加者の皆さんは、実際の作品を鑑賞するのがより楽しみになられたのではないでしょうか。レクチャーでご紹介した当館所蔵の安井曾太郎《水浴裸婦》、《薔薇》、ポール・セザンヌ《帽子をかぶった自画像》、《サント・ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》は、2020年1月からの開館記念展に出品されますので、皆さまぜひ足をお運びください!
ARCレクチャー「安井曾太郎とポール・セザンヌ礼賛」
ARCレクチャー「安井曾太郎とポール・セザンヌ礼賛」