池田孤邨
《青楓朱楓図屛風》
江戸時代 19世紀 紙本金地著色
緑葉と朱葉の色の対比が、金地に鮮やかに映えています。よく見ると、青楓の幹や枝は細く曲線をえがき、朱楓は幹はどっしりと太く、枝もごつごつと節くれだっているのに気づきます。ふたつの季節の対比にとどまらず、楓樹の一生をも表した作品です。「孤邨三信」の署名と、「煉心窟」「舊松軒(きゅうしょうけん)」の円印は、池田孤邨のものです。この屏風の図様は、孤邨の師である酒井抱一の落款を付す《青楓朱楓図屏風》と、抱一が刊行した『光琳百図』に「青朱楓図」と記して載る尾形光琳の屏風と似ています。図様は似るのですが、それぞれが、それぞれの画趣をもち、画家の志向するもの、個性を見ていく上で興味深い作品と言えます。
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