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フアン・グリス
《新聞と開かれた本》
1913-14年 油彩・カンヴァス
フアン・グリスは本名をホセ・ビクトリアーノ= ペレスといい、マドリードで美術を学んだのち、1906年にパリに出ました。パリでは同じスペイン出身のピカソと出会い、1908年にはピカソを通じて、ジョルジュ・ブラック、ギヨーム・アポリネール、アンドレ・サルモン、そしてマックス・ジャコブと知り合い、活動を始めました。ピカソとブラックが、1909年から11年頃までの間に、対象を基本的形態に分解し、幾何学的に再構成する試みである分析的キュビスムを推し進めた結果、対象の分析と解体が進み、描かれているものの判別が困難となる事態に陥りました。グリスが「洗濯船」に住み込むのは1906年からのことですが、キュビスムの絵画を始めるのは1911年以降のことです。この間グリスはピカソやブラックの制作を冷静に見つめ、そこに提起される造形的問題と可能性を研究して、キュビスムの新しい方向性を模索し始めました。すなわち分析的キュビスムにおいて分離され、個別に追求された空間、形態、色彩といった個々の要素の再総合を試み、解体されて造形的、象徴的意義を探求された対象も再総合することをピカソやブラックらとともに試み、総合的キュビスムへと発展させたのです。ここで絵画は、客観的事実から出発するのではなく、画家の創意から出発する創造的なものとなりました。この作品はまさにこの時期、1912年末から14年までの間に制作されたもので、パピエ・コレやトロンプ= ルイユといった手法が使用され、現実の再構成としての画面がつくられました。
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