胴から緩やかに膨らんで丸く張った肩。そこからすっと伸びた頸と、らっぱ状に広がった口。きめの細かい胎土でつくる優美な形は、釉薬のベールをまとって艶やかな趣を見せています。魅力的な釉の色味を引き立てるのは、黒褐色の斑点で、無造作に見せながら、その形も配置も絶妙なバランスでなされています。このような鉄斑文を施した青磁は、中国元時代、14世紀に龍泉窯で制作されました。日本では「飛青磁」と呼ばれ、特に茶人の間で珍重された青磁です。現存する他の例では大阪市立東洋陶磁美術館が所蔵する国宝の玉壺春瓶が知られます。