透明感のある白地に、赤や青、緑、黄色といった色味が鮮やかに映えています。施されている文様は、虎、太湖石に竹、梅、そして裏側には龍も。虎の毛並みや髭、樹木の陰影にうかがえるように、とても繊細な絵付けがなされています。これが、柿右衛門様式の特徴です。江戸時代の初め、有田で磁器の生産が行われ成長していく中で、色絵の技術も発展しました。その色絵をより美しく見せるために力を注がれたのが白磁の素地で、濁手と称されるものです。柿右衛門様式の完成は、延宝年間(1673–81年)頃。その時期の例が、この作品といえます。