拡大《薔薇》

安井曾太郎

《薔薇》

1932年   油彩・カンヴァス

フランスから帰国後、安井曾太郎は風土や光線、モデル、あるいは美術をめぐる社会制度の違いからか、思うように絵を描けなくなるスランプに陥ります。約15年間の苦闘の末にたどり着いたのが、のちに「安井様式」といわれる、明確な輪郭で形をとり、メリハリの効いた色彩で面を重ね、黒を効果的に使って色彩を引き立てていくスタイルです。1929(昭和4)年頃にまず人物画でその様式は花開きますが、まもなく静物画でも使いこなすようになります。漆黒を背景とし、伊万里の花瓶に生けられた薔薇が匂い立つようなこの絵は、その最初期の典型作です。

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《薔薇》