拡大《牛》

坂本繁二郎

《牛》

1920年  油彩・カンヴァス

馬に魅せられ、多くの馬を描いた坂本繁二郎ですが、若い頃はたびたび牛も描きました。その中で、この作品は、牛も柏の木も背景もすべてがモノクローム調に仕上げられ、他にはないユニークな色彩表現が試みられました。坂本は、この作品を発表したことで、東洋人独自の内的な深みを油絵で表現することを目標に掲げ、画家として生き続けることを宣言した形となり、世間もそう受け取ったようだと、晩年、回想しています。当時住んでいた池袋そばの牧場でスケッチし、それをもとに家で制作されました。2年がかりで完成したこの作品は、フランス留学前の集大成ともいわれています。

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《牛》