1904(明治37)年夏、青木繁は友人の坂本繁二郎らと千葉県館山市布良海岸に滞在し、《海の幸》(cat. no. 135)を制作しますが、あわせてこの海岸の波打ち際を何点も描いています。熱い日差しに輝く岩が、太平洋の激しい波を受け留めています。荒々しく鮮やかな点描表現は、1880年代のクロード・モネを思い起こさせます。青木は何らかの手段によりモネ作品を知っていたに違いありませんが、彼自身は何も語っていません。この作品は、青木と親しく交流した象徴派詩人蒲原有明の所蔵となり、第二次大戦後に一時、川端康成コレクションに加わりました。