幻想的な内面世界を描いたルドンは、19世紀末フランスの象徴主義を代表する画家のひとりです。この作品は神秘的で厳粛な雰囲気の中で、円柱のかたわらに立って語りかける女性と、うつむいて耳を傾ける女性が描かれています。これはルドンが好んだモティーフのひとつで、版画やパステル、油彩など異なる技法で繰り返し描かれました。主題はキリスト教の聖書にある「聖母のエリサベツ訪問」とも、神秘主義的なものともいわれ、様々な解釈がなされています。ルドンの支援者で文芸保護者であったアルチュール・フォンテーヌの旧蔵作品です。