スーティンは寒村のユダヤ人家庭に生まれ、社会的差別と貧しさの中で不遇な幼少期を過ごしました。苦境から逃れるようにやって来たパリでも当初は極貧と孤独に苛まれますが、次第に画商やコレクターに才能を見出されます。彼の絵につきまとう暴力的なまでもの粗々しい色や線には、人生の苦悩や不安が滲み出ているかのようです。1923年に南仏カーニュに移り住み、その頃から構図が安定し、色彩は明るくなりました。この作品もカーニュ時代に描かれたもので、樹も道も家も激しくよじれていますが、その色調には南仏の明るい陽光が感じられます。