拡大《牧場》

アンリ・ルソー

《牧場》

1910年  油彩・カンヴァス

パリ市の税関職員だった素朴派の画家ルソーは、40歳を過ぎてから独学で絵を描き始めました。この作品はルソーの最晩年、注文によって描かれたものです。牧歌的な田園風景の中に大きな樹と2頭の牛、牧童が描かれています。木の葉一枚一枚が細密に描写される一方、遠近法やモティーフの前後関係を無視した構図は、一見稚拙でもあります。しかし雲ひとつない真っ青な空や、不自然なほど平たく広がる緑の牧草地は、平凡な風景を幻想的に見せ、独特の魅力をたたえています。この作品は、ルソーに魅せられた日本画家土田麦の旧蔵品でした。

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