拡大《能面と鼓の胴》

坂本繁二郎

《能面と鼓の胴》

1962年  油彩・カンヴァス

坂本繁二郎が初めて能の舞台を見たのは、1913(大正2)年、31歳の頃です。感動した坂本は、詩人の三木露風と九段の華族会館能楽堂へ通いました。その後、茶道を始めた薫夫人の茶道具集めに付き添い、訪れた骨董屋で小面を求めたのが最初で、機会あるごとに多種の面を手に入れました。月日は経過し、還暦を過ぎた頃から描いた30数点もの能面シリーズは、魅力ある作品群として高く評価されています。能役者が舞台上ですきのない位置に身を置くように、謡本と能面、鼓胴が熟慮された構図で絶妙に配された、静けさの漂う作品です。

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《能面と鼓の胴》