京の市街と郊外の景観、および風俗が俯瞰的に描かれています。右隻(向かって右)、目を引くのは華やかな祇園会の山鉾巡行の様子です。左隻では、二条城の前、画面の中ほど水平に大行列を見出します。その行列は右隻の内裏にまで及んでいて、祇園会とは異なる賑わいを見せています。これは、1620(元和6)年6月18日の徳川和子入内の様子。他の洛中洛外図屛風の多くが四季を盛り込んでいるのに対し、この作品では夏に限定されています。一般的な京を表すというよりは、この歴史的な出来事を記録する意味合いの強い作品なのかもしれません。