ポール・ゴーガン
《馬の頭部のある静物》
1886年 油彩・カンヴァス
三つ折れ人形を思わせる東洋的な玩具、馬の頭部の古代彫像、浮世絵を貼り合わせた団扇に書籍。なんとも奇妙な組み合わせの静物が、規則正しい斑点をもって描かれています。ゴーガンとしては珍しい新印象主義的技法、点描によって描かれた静物画です。馬の彫像は、現在では大英博物館所蔵になるギリシアのパルテノン神殿の彫刻と建築の部分をなしていたエルギン・マーブルズ《月神セレネーの馬の頭部》を模した像のようです。人形や団扇は当時の日本美術愛好の流行によりパリにもたらされたものでしょうか。ゴーガンは、やがて、日本美術の影響を受けて、本格的にその技法を学び、平面的な単純化を目指す表現によって新たな様式を確立することになりますが、この作品はゴーガンの日本美術へ関心の端緒を開いたものといえましょう。
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